内容紹介(出版社より)
立て続けに起きた無差別殺人が裏で富裕層が教唆するゲームならば?
格差と貧困、SNSでの誹謗中傷、スマホ依存……。
『震える牛』『血の轍』『ガラパゴス』の著者が現代の歪みを露わにする社会派警察ミステリ21歳の理子は金銭面で厳しい生活を送ってきたが、ある女性と出会い、人生が好転する。彼女に誘われてラウンジで働き、高い評価を受け、新規の店を任されることになった。充実した暮らしぶりをSNSにアップロードする一方で、その飛躍を妬む者も増えていく。百貨店で閑職に追いやられ、しまいには墓穴を掘ってクビになった小島もその一人だ。そんななか、世間では無差別殺人事件が立て続けに起きる。模倣犯なのか。警視庁サイバー犯罪対策課の長峰はインターネット上で一連の事件の奇妙な共通点に気づく。折しも、小島の理子への嫉妬心はやがて殺意に変わっていってーー。
What)これは何のための本か?
相場英雄さんの新刊。
Why)この本を読む理由は何か?
新聞広告で新刊が出たと知り。
How)この本が伝える解決法は何か?
相場英雄さんの作品は、毎回、社会問題を深く取材されたものです。
今回はデスゲーム要素の入った、貧困女子 → 港区女子 ✕ 自己責任社会。
総評
期せずして、2冊連続水商売テーマ。
(前回はキャバ嬢の実録本:好きしかいらない! 最速でなりたい私を手に入れる方法 [ みゆう ])
冒頭から、メンタルの安定しない親と同居している女子大生が登場して、つらい気持ちに。
一方で警察側には、民間出身のサイバーパトロールお兄さんと、豪胆なお姉さんバディが出てきます。
この手の人は憎めない、いいキャラクターをしているんですよね。
「爆弾 [ 呉勝浩 ]」もそうでしたが、社会の鬱憤を煮込んだようなストーリーの中で、読者の気持ちを中和してくれる役割になっています。
作中で「無差別殺人という凶行に走るのは、なぜ圧倒的に男性が多いのか?」という話題にも触れられていて、この辺だけでも他にもう1冊出してもらえるんじゃないかというポテンシャルがあります。
「逆恨み」が、世の中にはあふれています。
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